こんにちは。インテリアコーディネーターの水田恵子です。
私は時々、美術館に行くことを楽しみにしています。
先日、京都の大山崎山荘美術館に行ってきました。

大山崎山荘について

ここは現在、アサヒ(ビール)グループが所有していますが、
元は、関西の実業家であった加賀正太郎氏によって、大正~昭和初期にかけて建設された山荘です。

当時、加賀氏が自ら、建物や庭園の設計にもたずさわったそうですが、
見れば見るほど、細かいところまで、絶大な愛情とエネルギーを注ぎ込まれたことが分かります。

わたしはここを訪れるのは3度目か4度目になると思いますが、そのたびに、驚きと感動があります。
建物だけじゃありません。
山荘に向かうアプローチからワクワクが始まり、門を入った時、
庭を抜けて建物に向かうまでにも、たくさんの見どころがあるんです。

時が流れ、加賀氏の手を離れた大山崎山荘は、平成の初めころにはすっかり荒廃してしまっていました。
周辺が開発されるに伴い、取り壊しの話もあったそうです。

そこに手を挙げたのがアサヒビール。

初代社長の山本為三郎が、同じ関西経済人として、加賀氏と親交があったことから、山荘の保護に名乗りをあげました。
庭や建物を修復し、1996年、美術館として再生されたのでした。

美術館として再出発するにあたり、安藤忠雄設計の新館が作られたのですが、ここもまた良い!

通路を通って、半地下の新館へ。
円形の展示室にモネの「睡蓮」が静かに並び、うっとりする体験ができます。

この写真は大山崎山荘美術館HPからお借りしました

この通路や建物が、緑豊かな景観の邪魔をせず、上手く調和しているのが、安藤忠雄の真骨頂です。

アサヒグループ大山崎山荘美術館HP
https://www.asahigroup-oyamazaki.com/

舩木倭帆展

さて私たちが訪れた日は、本館で、ガラス工芸家「舩木倭帆(ふなきしずほ)」展が開催されていました。
1935年松江に生まれ、大阪や東京のガラスメーカー勤務を経たのち、広島に工房を開いて活動していたそうです。
2013年に亡くなっていますから没後10年ですね。

で、この!ガラス器が!
とてもとても美しかったです!
この日はたまたま、近くの方から、無料チケットがあるよ、とお誘い頂いてきたので、
正直、展示にはあまり主眼を置いていなかったのですが。

いや、来てよかった~!

昔から器が好きで、色々みているわたしですが、ガラス器では、これまでに見た中で一番素敵。
というか、初めてビビッときたかも。

色が鮮やかで多彩なこと。曲線の丸み具合。装飾が美しいが、華美ではない。
ガラスなのにあたたかく、人の手のぬくもりや気持ちが感じられます。

大山崎山荘美術館は、バーナード・リーチや濱田庄司など、民芸運動の作品をたくさん所蔵していますが、
その民芸の良さを、そのままガラスに置き換えたようです。

舩木倭帆の作品は、決して「飾って眺めるだけの芸術品」ではなく、花瓶やグラス、鉢など、「暮らしの中で実用できる道具」です。
そんなところも、民芸に通じていて、わたし好み♪



展示も素晴らしくて。
ガラス器ならではの光と影の美しさには、思わず息をのんだり、ため息をついたり、呼吸が忙しかったです(笑)

舩木倭帆店は、2023年12月3日まで開催されています。
庭園にはモミジがたくさん植わっていますから、秋はどれだけ見事だろうかと思います。
美術館の山荘建築、安藤建築と共に、ぜひ堪能してみてください。


舩木倭帆展
https://www.asahigroup-oyamazaki.com/exhibition/