先週 『PERFECT DAYS』観てきました。
カンヌ国際映画祭や、日本アカデミー賞など受賞して話題なので、
どんなお話かご存知 の方、映画を観られた方もおられると思います。
そしてミニマムインテリアのお手本だとも感じたので、
こちらで紹介したいと思います!(ちょこっとネタバレあり)

役所広司さん演じる主人公の平山さんは、東京のトイレ清掃員。
アパート暮らしで、朝は夜明けと共に起き、夜は布団に寝転がって、
スタンドライトの下で文庫本を読みながら 眠りにつく、シンプルライフ。
宝物は古いロックのカセットテープ。 作業服の胸ポケットにはフィルム式のカメラ。
仕事には真面目で無駄がない。
仕事が終わると銭湯に行き、同じ店で夕飯をとる毎日。

まさしくミニマリスト的な生活ですが、そこにあふれる豊かさを感じます。
この部屋には、贅沢なものは何もないけど、彼に必要なものは全てある。
ものは少なくても、心が豊かならば、日々は十分に幸せなんだ、と感じます。
つまり、禅の精神性なんですね。

ミニマリストというと、「本当に真っ白な、何も物がない部屋」を理想としている人も
いらっしゃるようなのですが、
私の個人的な意見としては、極端にもののない部屋には、魅力を感じないんですよね。

要らないものはないけど、最低限の好きなものだけが置いてあって、
それが住む人の人となりや、センスを感じさせる。
そんな部屋が、ミニマリストの神髄かなと思うんです。
平山さんの部屋は、まさしくその通りの「理想的ミニマリストのお部屋」です。

物は少ない方が、豊かに暮らせるというのは本当ですよ。
色んな意味で、豊かになりますよ、はい。

そして、平山さんには家族はおらず、人とは付かず離れず。
確かに孤独ではありますが、心の中には広々とした自由を携えている、
そして常に、自 分との対話を重んじている人。
こんなシブい、カッコいい大人に憧れるひとも、多いのでは。

裏を返せば、 ひとりは寂しい、誰かそばにいて欲しい、と思ってしまう凡人は、
こんなに自由な暮ら しはできないでしょう。
孤独と自由は表裏一体なんですね。

『好き勝手に生きたいならば、深い孤独を受け入れなければならない』
年齢が上がっていくと、この事実に直面して、苦悩する人も多いのでは、、、と思います。
なかなかできないことだからこそ、憧れなんですね。


さてこちらが、平山さんの部屋です。

(シネマドリ)https://www.athome.co.jp/cinemadori/12955/

本棚と窓下にカセットテープの棚。
左奥には、きちんとたたまれた布団。
写真には写っていない右手の壁には、仕事着がハンガーで吊るされています。
この部屋の隣にもう一つ和室があって、そこには大事に育てている苗木。
そして、押入れにはこれまでに撮った写真が、日付ごとに分類されたブリキの箱に入れられ、
きっちりと納められています。
この、シンプルで片付いた部屋が、平山さんの知性を感じさせるんですよね。

映画は、前半はほとんどセリフなしで、役所広司の無言の演技や、所作に引き込まれます。
東京の首都高の映像美と、音楽が最高!
そして、ラストシーンがすごく、斬新で、衝撃でした。

ツッコミどころも、いくつかありました。
ヴィム・ベンダース監督は、日本が大好きで、日本文化に深い知見のある方ではあると思うけれど、
日本人の大人の兄妹、ましてや平山さんは、そこでハグはしないかなーって思うシーン がありました。
もう一点は、 平山さん、いつもあんなに無口なのに、しゃべったらけっこう快活ねーって
ところ(笑 )。


でも、すごい傑作だと思います。ドキュメンタリー風というか、アート的な作風で、何度でも観れそう。
インテリア好きの方には、ミニマムインテリアの素敵さが、 自然な形で感じられると思います。
興味のある方はぜひ観てみてくださいね~!