
インテリアコーディネーターという言葉は聞いたことがあるけれど、具体的にどんなことをする仕事なのかはわからないという方は多いのではないでしょうか。
今回はインテリアコーディネーターとはどういった仕事なのかを分かりやすくご説明したいと思います。
この記事の執筆者

株式会社S.O.P
代表取締役 水田恵子
大学で心理学を専攻し、卒業後は百貨店に就職・外資系ブランドを担当後、インテリア業界に転身。
2児の子育てをしながら、フリーランスのインテリアコーディネーターとしてマンションデベロッパーなどで経験を積んだのち、2004年にOffice SPIRAL設立、2022年に株式会社S.O.Pを設立し、現在に至る。
インテリアコーディネーター協会関西の会長を経て、現在は相談役として従事。
目次
インテリアとは

「インテリア」は、室内を構成する部材全般を指します。
具体的にはソファー、テーブル、ベッドなどの家具やカーテン、壁紙、照明、アート、雑貨など、個々の部材があります。
こういったインテリアを構成する個々の部材を「インテリアエレメント」といいます。
インテリアコーディネーターは、このインテリアエレメントを組み合わせて、依頼者の要望に沿った住空間を作ります。
インテリアコーディネーターとは
インテリアコーディネーターとは「依頼者が快適と感じる住空間をつくる仕事」です。
快適と感じる住空間は人によって異なります。
また、依頼者自身もどのようなデザインにすれば快適かというデザインは正確に思い描けない場合も多くあります。
インテリアコーディネーターは、依頼者の要望を見える形にして提案して、それを実際に形にしていきます。
「依頼者が快適と感じる住空間」をつくるためには、依頼者の要望を引き出すヒアリング力、聞き出した要望を形にするデザイン力が必要になります。
デザインをするためには、家具・照明・壁紙・カーテンなどのインテリアエレメントの知識、壁紙や内装業者といった施工業者とのネットワークも必要になります。
また、デザインを形にしていく中で、依頼者の想いを施工業者へきちんと伝えて形にするためのコミュニケーション力も必要になります。
インテリアコーディネーターは、これらの技術や知識を使って「依頼者が快適と感じる住空間」をつくっていきます。
それでは具体的にこれらのインテリアコーディネーターの技術や知識に関してご説明していきたいと思います。
ヒアリング力

依頼者がどのような空間を求めているかを聞きとるのがヒアリングです。
上に書いたように、依頼者本人も、自分にとってどんな空間がいいのか、はっきり分からなかったり、言葉にできなかったりする場合もあります。
最近は、インスタグラムやルームクリップなどのアプリを使って、画像で具体的に情報が得られるので、一般の方も「こういうのが欲しいです」と伝えやすくなりました。
しかし、見た目だけをまねしても、本当にその人にとっての暮らしに合っているとは限りません。
また「インテリアコーディネーターというプロに頼むからには、自分たちでは思いつかないような提案が欲しい!」という方も当然いらっしゃいます。
その人の好みやライフスタイルに合っていて、なおかつ、自分たちでは思いつかないようなアイデア。
そんな提案をするためのヒアリングは、インテリアの話を聞くだけでは十分ではありません。
毎日どんな暮らしをしているか。
たとえは、朝起きる時間、帰宅する時間。
夜寝る前に何をするか。
家にいる時何をしていることが多いか。
お子さんやご家族の話。
大事にしている習慣。
今、不満や不便を感じている事。
本や洋服など、たくさん持っているものがあるかどうか。
これまでの旅で好きだったところ、大切な思い出、好きな映画。
などなど。
そんなお話から、その方の価値観やライフスタイルが分かってきます。
インテリアコーディネーターは、その情報を自身のフィルターに通すことで、その方にピッタリな提案を生み出します。
デザイン力

ヒアリングで聞き出した要望やこちらからの提案を、具体的に形にしていくのがデザインです。
ここには、デザインの素となる、多種多様な知識が必要になってきます。
たとえば、色の知識。
単純に「赤」といっても、赤ワインと神社の鳥居では、違う色ですね。
更に、その「赤」をインテリアに使うとしたら、部屋の中にある他の色を何色にすれば、美しい空間になるのか。
部屋の中でどれくらいのバランスで取り入れるのがいいのか。
そして、色は、光の当たり方で見え方も違い、素材が違えば印象が全く違ってきます。
更に、人は、色を見ることで心理的、生理的に影響を受けます。
このように、色一つを取っても、このように多岐に渡っていて、奥深いものです。
もちろん、色以外にも、家具やカーテンなどに使われる素材の知識。
間取りや動線について、
部屋に必要な明るさについて、
デザインの歴史や様式、
代表的なデザイナー、
インテリアスタイル、
インテリアのトレンド情報。
そういった知識がベースになって、デザインが決まっていきます。
インテリアエレメントの知識
インテリアエレメントとは、インテリアを構成する要素の事です。
たとえば家具、カーテン、照明、キッチンやトイレ、バスルームといった住宅設備、ドアや窓などの建具類、床、壁、天井の内装仕上げなどがあります。
これらの一つ一つについて、基本的な知識はもちろんのことですが、インテリアコーディネートの業務を行うためには、数多くのメーカーから発売されている実際の商品の情報も合わせて持っておくことが必要です。
メーカー、施工業者とのネットワーク
インテリアコーディネーターは、自分のデザインした空間を実現するために、家具などを購入する会社(メーカー、問屋)や施工業者(工務店など)に仕事を依頼する必要があります。
企業に勤めている場合は、すでに決まった取引先がある場合が多いですが、フリーランスなど独立して仕事をしている場合は、そういった協力業者と連携することが必要になります。
自分の業務内容に合った業者と出会い、提携していくことは、空間の完成度を高める事にもつながります。
信頼できる業者をたくさん知っておくことも、インテリアコーディネーターの成功の秘訣と言えるでしょう。
コミュニケーション力
依頼者とのコミュニケーションはもちろんですが、協力業者とのコミュニケーションも非常に大切です。
インテリアコーディネーターは、依頼者と業者の橋渡しの役割を持っています。
依頼者の中には、過去に「職人さんに希望を伝えたがうまく伝わらず、素人なので、と遠慮した結果、気に入らない仕上がりになってしまった」という経験をもつ人もたくさんいます。
そういったときに、間にインテリアコーディネーターが入ることで、依頼者の希望をプロの言葉で業者に伝えることができます。その反対もあります。
また、現場での作業が円滑に進むように気を配ったり、工事前にマンションの管理人さんや、近隣の住民への挨拶まわり等も、業務に含まれます。
インテリアコーディネートの仕事は、たくさんの方が関わります。
現場を完成させるためには、多くの人の協力が欠かせません。
インテリアコーディネーターは、人間同士もコーディネートするという役割を持っています。
インテリアコーディネーターの働く場所
インテリアコーディネーターは住まいに関わる様々な場所で活躍しています。
企業・職場によって、インテリアコーディネーターが任される業務範囲は大きく異なっているようです。
ハウスメーカー
主に新築住宅を契約した顧客の、内装や設備の詳細、家具や照明器具の提案などを担当します。
工務店
工務店の業務によって、新築や、リフォームの仕上げ材、設備仕様、その他デザインを担当します。
リフォーム会社
リフォームに関わる仕様や、仕上げ材の選定を担当します。
建築設計事務所
設計事務所で内装や家具等の仕様を担当します。
インテリアデザイン事務所
モデルルームや、非住宅(ホテルなど)のインテリアデザインを受注します。
法人に限らず、個人の顧客からの依頼で、模様替えやDIYのアドバイス、リフォーム、住宅購入や引っ越しなどの際のトータルなインテリアコーディネートまで、多様な相談に応じる事務所もあります。
住宅関連のメーカー
内装材メーカー、設備メーカーなどで、顧客へのアドバイスをします。
インテリアショップ
来店した顧客に対応し、店で取り扱う家具やカーテン、雑貨などの商品を販売します。
マンションのインテリアオプション販売やマンションの契約者にオプションの案内や受付、インテリアの提案なども行います。
大学、専門学校などの講師
学生にインテリアの授業を行います。
資格取得を目指すコース、教養としてのインテリアを教えるコースなどがあります。
インテリアコーディネーターに関連する資格
インテリアコーディネーターには、「依頼者が快適と感じる住空間」をつくるために、いろいろな知識が求められます。
現在、インテリアや建築に関する資格は「インテリアコーディネーター」以外にもたくさんあります。
インテリアコーディネーター
公益財団法人インテリア産業協会が発行する資格です。
公益社団法人インテリア産業協会は、住空間におけるインテリアの普及促進を目的に、昭和58年6月に通商産業省(現経済産業省)の許可を得て、インテリア産業界で唯一の横断的組織として設立されました。
建築士
建築士は、「建築士法」に定められた資格をもって、建物の設計・工事監理を行う建築のプロフェッショナルです。
建築士は、一級、二級、木造の3つの資格にわかれており、建物の規模、用途、構造に応じて、取り扱うことのできる業務範囲が定められています。
いずれも、国家(知事)試験により、国や都道府県から与えられます。
一級建築士
国土交通大臣の免許で、建築物にかかわる設計、工事監理等を行います。
《一級建築士が設計・工事監理を行わなければならない建築物》
例1. 高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの
例2.鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で延べ面積が300㎡を超えるもの
二級建築士
都道府県知事の免許で、建築物にかかわる設計、工事監理等を行います。
《一級・ 二級建築士が設計・工事監理を行わなければならない建築物》
例1.鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で延べ面積が30㎡を超え300㎡以内のもの
木造建築士
都道府県知事の免許で、木造の建築物に関して設計、工事監理等を行います。
《一級・二級・ 木造建築士が設計・工事監理を行わなければならない建築物》
東京建築士会HPより
例1.2階建までの木造建築物で延べ面積が100㎡を超え300㎡以内のもの
インテリア設計士
インテリア設計士は、インテリアに関する計画・設計並びに生産・施工・監理技術を身に付けた技術者の育成を目的とした資格で、1級と2級があります。
生活者が快適で安全に暮らすことができる生活空間を創り出すために必要な知識と技術が問われます。
インテリアコーディネーターは、仕上げや住宅機器などを、目に見える部分を「選ぶ」のが主な業務なのに対し、インテリア設計士はより「設計」、つまり図面を書くことが業務の範囲になります。
インテリア設計士資格には受験条件があり、インテリア、建築、住居学、生活科学、住環境などの教育課程を修了している事や実務経験があること、建築士やインテリアコーディネーター資格を持っている事などが求められます。
収納に関する資格
片付けができない、物が捨てられないなど、収納に悩む人は大変多く、収納に関する資格もたくさんあります。
よく知られているのは、特定非営利活動法人ハウスキーピング協会が発行する「整理収納アドバイザー」、一般社団法人ライフオーガナイザー協会が発行する「ライフオーガナイザー」です。
この他にも、Kon Mari Media Japanによる「ときめき片付けコンサルタント」、一般財団法人断捨離による「断捨離検定」など、数多くの協会が収納に関する講座を開催し、資格を発行しています。
- 特定非営利活動法人ハウスキーピング協会 公式ホームページ
- 一般社団法人ライフオーガナイザー協会 公式ホームページ
- Kon Mari Media Japan 公式ホームページ
- 一般財団法人断捨離 公式ホームページ
カラーコーディネーター
東京商工会議所が発行する「カラーコーディネーター1~3級」、文部科学省が後援する「色彩検定1~3級」があります。
色の専門家が活躍する業界は、ファッション、美容、建築、インテリア、グラフィック、飲食など、多岐に渡ります。
カラーコーディネーターの資格は、級が上がると専門分野を選んで受験することになります。
空間デザイン心理士
心理学・脳科学・行動学・生態学などに基づき、人が空間から受ける影響を解明して、理想の気持ちや行動を自然にうながす空間を研究する学問が、空間デザイン心理学です。
空間デザイン心理士は、この学問に基づき、住む人の特性(心身、感覚、性格、価値観、生活スタイル、経験など)と空間の状態を解析しながら、最適な空間を考えます。
専門に特化したインテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターの中には専門の分野に特化して活動されている方もいらっしゃいます。
ここではその一例をご紹介します。
- 北欧デザイン
- 和モダン
- オフィス
インテリアコーディネートの事例
それでは、実際のインテリアコーディネートの事例をご紹介したいと思います。
事例1
老朽化していた喫茶店兼簡易宿泊所を、民泊へとコンバージョンした事例です。
依頼者の起業家さん、大工さんと共に建築の改装から作り上げた現場です。
それぞれの階に広いダイニングキッチンと数室ずつの客室があり、入り口を分けて別のグループが泊まれるようになっています。
インテリアも、1階と2階で全く違う雰囲気にコーディネートしました。
事例2
ものづくりの町大阪の、社屋(工場)兼住宅の建物を改装。
使われていなかった和室を、社長室にリノベーションしたいというご依頼でした。
当初、カッコいいオフィスにあるような社長室を希望されていましたが、昭和半ばに作られた立派な和室を活かした方がいいのではと考え、ご提案した結果です。
他には見かけない、カッコいい社長室になったと思います。
事例3
マンションのリビングダイニングです。
植物を育てるのが好きな奥様の好みに合わせ、ウィリアムモリスの壁紙や、グリーンに塗装した収納付きのデスクを造作家具で製作しました。
2面の大きな窓に、おおらかでゆったりしたインテリアが映えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
インテリアコーディネーターとはどのような仕事なのかを、少しご理解いただけたのではないでしょうか。
このように、インテリアコーディネーターは、多様な知識を持ち、より消費者に近いところで、生活経験を活かしながら仕事を行っていると言えます。